
タンパク質は、私たちの体を作る上で欠かせない重要な栄養素です。筋肉、臓器、皮膚、髪の毛など、体のあらゆる部分の材料となります。健康維持や体づくりを考える上で、1日に必要な総タンパク質量だけでなく、1食あたりでどれくらいの量を摂るかも非常に重要になってきます。しかし、「1食あたりでどれくらいが適量なのか」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
【なぜ1食あたりの量が重要か】
タンパク質は一度に大量に摂取しても、体内で利用できる量には限りがあります。私たちの体は、消化吸収したタンパク質をアミノ酸として利用しますが、この利用効率は、摂取量と時間のバランスに影響を受けます。一般的に、人間の体は1回の食事で利用できるタンパク質の量が決まっており、その上限を超えても効率よく使われず、体脂肪として蓄積されたり、分解・排泄されたりしやすくなります。このため、必要量を数回の食事に分けて均等に摂ることが、タンパク質の利用効率を高める鍵となります。
【一般的な目安量】
では、具体的に1食あたりどれくらいのタンパク質が適正量となるのでしょうか。これは個人の体重、年齢、活動レベル、目的(例 筋力アップ、減量、健康維持)によって変動しますが、健康な成人が一回の食事で効率よく利用できるタンパク質の目安として、20グラムから30グラム程度を目安とすることが推奨されています。特に筋肉の合成を最大化したい場合や、高齢者で筋肉量の維持が重要な場合は、この上限に近づける意識が大切です。
【目的別の注意点】
一律の目安がある一方で、活動量や目的に合わせて調整が必要です。
・運動習慣のない方・健康維持が目的の方
上記の一般的な目安量である20グラム程度を、毎食意識することが大切です。
・筋力トレーニングを行う方
筋肉の修復と成長のため、特にトレーニング後の食事では、25グラムから30グラム程度の摂取が望ましいとされています。
・高齢者の方
年齢とともにタンパク質の利用効率が低下する傾向にあるため、若い成人よりも意識的に多め(目安上限の30グラム程度)を摂取することが推奨されています。これは、サルコペニア(加齢による筋肉量・筋力の低下)の予防に役立ちます。
いずれの場合も、体重1キログラムあたり0.8グラム〜2.0グラムという1日の総必要量を、適切な食事回数(通常は3食)で均等に分割して摂取することを基本とし、体調や運動量に合わせて微調整していくことが重要です。

本記事はBLUEM代表の佐藤元紀が監修しています。新潟医療福祉大学健康科学部健康スポーツ学科卒。健康運動指導士、健康運動実践指導者の資格を取得し、豊富な指導経験と独自のトレーニング哲学で多くの顧客の理想的な体型維持をサポートしています。安心・正確な情報提供に努めています。





